読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Swing The Bloody Plow

Gothic Americana / Underground Country / Svensk Hiphop / US Indiehiphop / ニュースと気付き

今年良かったやつ諸々

今年のベストを出すのか、というとそこまでの気力はないので、今年よく聴いたものなど。

 

Joseph Huber 「The Hanging Road」(2014)

元.357 String Bandのバンジョープレーヤー、Joseph Huberのソロ3作目。コンスタントに活動していますが、1stの陰気な感じと2ndの明るい感じが上手い具合にミックスされ、大変味わいがあり聴きやすい作品に仕上がっていました。好みはともかく、出来の上では現時点での最高傑作なのでは。安定感抜群の演奏、粒ぞろいの楽曲、いなたくもすっきりしたブルーグラス/アメリカーナで大変におすすめです。

 

The Whiskey Shivers 「The Whiskey Shivers」(2014)

マレットヘアにいい笑顔のホワイトトラッシュ的イケメンなフロントマン/フィドラー、Bobby Fitzgerald率いるオースティンのブルーグラス/アメリカーナバンド。3枚目のアルバムにしてセルフタイトルですからさすがに気合いの入った内容でした。アングラカントリー界隈から一歩抜け出すバランスとセンスの良さがあり、今後も楽しみなバンド。元々の資質としてジャケも音もビジュアルも非常に田舎臭いのですが、一方ではそれがどのようにコアなカントリーリスナーに受容されるか、をかなり意識しているのではないかと思います。ライブでViolent Femmesのカバーなんかやってるあたりからも伺えますね。その辺りのバランス感が、洒落臭さやあざとさにつながらないのがいいんだなぁ…

 

O'death「Out of Hands We Go」

 NYのジプシーパンク/ゴシックアメリカーナ、O'deathの久しぶりの新作。前作から比べて、音楽性にこれといった変化はないものの、独特の土着感ある哀愁漂うメロディを、手数の多い演奏で安定して聴かせてくれます。初期のパンキッシュさはかなり薄くなったかな。ジプシー/ロマ的な味わいを、あくまでアメリカンルーツの一要素として昇華しているバンドが好きなのですが、そういう意味で言ってもO'deathは良いバンドだなぁと思います。

 

Sadistik「Ultraviolet」(2014)

父の死を扱った前作があまりにも名作だったのですが、今作もその延長線上にあるドープでメランコリックなヒップホップで期待を裏切らなかったSadistik。4年前に亡くなったラッパー、Eyedeaの残した最後のヴァースがフィーチャーされた曲も入っているので必聴です。このアルバムについてはまた別途詳しく紹介したいところ…

 

Grieves「Winter & The Wolves」(2014)

シアトルのインディー/オルタナ系ラッパー、Grievesの新譜。トラックの担当がBudoではなくなったので少し雰囲気は変わりましたが、相変わらずメランコリックなクサメロとリリックが炸裂。ボリュームがあるものの後半にきちんとハイライトが設置されアルバム通して聴きやすい。この人は日本人受けしそうな音なのに、全然話題にならないのが残念……リリックもわかりやすいし、なによりこのメロさ加減はヒップホップを聴かない人にもとっつきやすいと思います。

そういえばスウェーデンのラッパー/プロデューサーであるChordsがTimbuktuとアメリカに行っていた時、Grievesの曲を一曲プロデュースしたという情報があり、実際にアルバム聴いたらこれまたクレジットを見なくてもわかるレベルでChordsだったのが個人的にとても嬉しかった…個人的すぎるな。

 

Timbuktu「För Livet till Döden」(2014)


今年のスウェーデンもの。Alaskaとゴールデンベスト周辺やウメオ勢もかなり聴いたのですが、振り返って見ると何気に一年通して聴いていたのがベテランラッパー、Timbuktuの新譜。これもまたプロデュースは前述のChordsとOskar Linnrosがメインで入り安心して聴ける内容。一昨年、昨年あたりはスウェーデンのブラスファンクバンド、Damn!をバックに従えてのライブとセルフカバーが活動のメインだったのですが、音造りの面ではその成果も交えつつ、メローなR&Bも硬派なヒップホップチューンも聴けて、むしろプロデューサー陣の個性をTimbuktuのラップがしっかりまとめあげているような印象もありました。かっこいいなぁ。一昨年からのアンチレイシズムの活動や、また今年の総選挙をはじめとしたスウェーデンの動向へのリアクションなど、相変わらずソーシャル/ポリティカルな内容ではあるのですが、その辺り抜きでも良いラッパーですし、一方でその辺りがあるからこそ非常に魅力的なラッパーでもありますね。

 

 

今年一番よく聴いたもの?えっ、Snookとリノロスとレイちゃんですけど…というのはともかく、今年の新譜というくくりではパンチにかけるものが多かったな、という気もします。良いものは多かったのですが、ベストとして紹介するほどでは、という。ルーツ系ではScott H. Biramのホワイトゴスペル丸出しっぷりや、Petunia & The Vipersのヨーデルのかっこよさ、Swampwolfのローファイまでいかないけど良い感じに枯れたダークフォーク。US勢ではAtmosphereやHail Mary Mallonもなんだかんだと良かったし、来年はスウェーデン方面ではおそらくMaskinenが音源ドロップするでしょうし、USヒップホップではとりあえずDoomtree、ルーツ系ではWilliam Elliott Whitmoreがそろそろ新譜…?あと、個人的にはElvis Parkinsの新譜がとてもとても楽しみです。