Swing The Bloody Plow

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今年良かったやつ諸々

今年のベストを出すのか、というとそこまでの気力はないので、今年よく聴いたものなど。

 

Joseph Huber 「The Hanging Road」(2014)

元.357 String Bandのバンジョープレーヤー、Joseph Huberのソロ3作目。コンスタントに活動していますが、1stの陰気な感じと2ndの明るい感じが上手い具合にミックスされ、大変味わいがあり聴きやすい作品に仕上がっていました。好みはともかく、出来の上では現時点での最高傑作なのでは。安定感抜群の演奏、粒ぞろいの楽曲、いなたくもすっきりしたブルーグラス/アメリカーナで大変におすすめです。

 

The Whiskey Shivers 「The Whiskey Shivers」(2014)

マレットヘアにいい笑顔のホワイトトラッシュ的イケメンなフロントマン/フィドラー、Bobby Fitzgerald率いるオースティンのブルーグラス/アメリカーナバンド。3枚目のアルバムにしてセルフタイトルですからさすがに気合いの入った内容でした。アングラカントリー界隈から一歩抜け出すバランスとセンスの良さがあり、今後も楽しみなバンド。元々の資質としてジャケも音もビジュアルも非常に田舎臭いのですが、一方ではそれがどのようにコアなカントリーリスナーに受容されるか、をかなり意識しているのではないかと思います。ライブでViolent Femmesのカバーなんかやってるあたりからも伺えますね。その辺りのバランス感が、洒落臭さやあざとさにつながらないのがいいんだなぁ…

 

O'death「Out of Hands We Go」

 NYのジプシーパンク/ゴシックアメリカーナ、O'deathの久しぶりの新作。前作から比べて、音楽性にこれといった変化はないものの、独特の土着感ある哀愁漂うメロディを、手数の多い演奏で安定して聴かせてくれます。初期のパンキッシュさはかなり薄くなったかな。ジプシー/ロマ的な味わいを、あくまでアメリカンルーツの一要素として昇華しているバンドが好きなのですが、そういう意味で言ってもO'deathは良いバンドだなぁと思います。

 

Sadistik「Ultraviolet」(2014)

父の死を扱った前作があまりにも名作だったのですが、今作もその延長線上にあるドープでメランコリックなヒップホップで期待を裏切らなかったSadistik。4年前に亡くなったラッパー、Eyedeaの残した最後のヴァースがフィーチャーされた曲も入っているので必聴です。このアルバムについてはまた別途詳しく紹介したいところ…

 

Grieves「Winter & The Wolves」(2014)

シアトルのインディー/オルタナ系ラッパー、Grievesの新譜。トラックの担当がBudoではなくなったので少し雰囲気は変わりましたが、相変わらずメランコリックなクサメロとリリックが炸裂。ボリュームがあるものの後半にきちんとハイライトが設置されアルバム通して聴きやすい。この人は日本人受けしそうな音なのに、全然話題にならないのが残念……リリックもわかりやすいし、なによりこのメロさ加減はヒップホップを聴かない人にもとっつきやすいと思います。

そういえばスウェーデンのラッパー/プロデューサーであるChordsがTimbuktuとアメリカに行っていた時、Grievesの曲を一曲プロデュースしたという情報があり、実際にアルバム聴いたらこれまたクレジットを見なくてもわかるレベルでChordsだったのが個人的にとても嬉しかった…個人的すぎるな。

 

Timbuktu「För Livet till Döden」(2014)


今年のスウェーデンもの。Alaskaとゴールデンベスト周辺やウメオ勢もかなり聴いたのですが、振り返って見ると何気に一年通して聴いていたのがベテランラッパー、Timbuktuの新譜。これもまたプロデュースは前述のChordsとOskar Linnrosがメインで入り安心して聴ける内容。一昨年、昨年あたりはスウェーデンのブラスファンクバンド、Damn!をバックに従えてのライブとセルフカバーが活動のメインだったのですが、音造りの面ではその成果も交えつつ、メローなR&Bも硬派なヒップホップチューンも聴けて、むしろプロデューサー陣の個性をTimbuktuのラップがしっかりまとめあげているような印象もありました。かっこいいなぁ。一昨年からのアンチレイシズムの活動や、また今年の総選挙をはじめとしたスウェーデンの動向へのリアクションなど、相変わらずソーシャル/ポリティカルな内容ではあるのですが、その辺り抜きでも良いラッパーですし、一方でその辺りがあるからこそ非常に魅力的なラッパーでもありますね。

 

 

今年一番よく聴いたもの?えっ、Snookとリノロスとレイちゃんですけど…というのはともかく、今年の新譜というくくりではパンチにかけるものが多かったな、という気もします。良いものは多かったのですが、ベストとして紹介するほどでは、という。ルーツ系ではScott H. Biramのホワイトゴスペル丸出しっぷりや、Petunia & The Vipersのヨーデルのかっこよさ、Swampwolfのローファイまでいかないけど良い感じに枯れたダークフォーク。US勢ではAtmosphereやHail Mary Mallonもなんだかんだと良かったし、来年はスウェーデン方面ではおそらくMaskinenが音源ドロップするでしょうし、USヒップホップではとりあえずDoomtree、ルーツ系ではWilliam Elliott Whitmoreがそろそろ新譜…?あと、個人的にはElvis Parkinsの新譜がとてもとても楽しみです。

 

 

覆面アングラカントリー/サイコビリー、Phantom of the Black Hillsの新譜

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Phantom of the Black Hillsの新譜がリリースされました。

かなり前からツイッターの方では事あるごとにプッシュしているのですが、どうしても皆様に浸透させることが出来なくてぐぬぬ…なPhantom of the Black Hills。アメリカの完全覆面なサイコビリー系アングラカントリーバンドです。ビジュアルでの訴求力はあるようで、アー写をつけてツイートすると反応があるのですが、どうも通常話題にしてくださる方は増えない。というか私だけじゃねーか!こんなにカッコいい音を出すバンドもそうそうはないと思うのですが…

アングラカントリー界におけるサイコビリーの立ち位置自体はかなりはっきりしたもので、特にThe Legendary Shack ShakersGoddamn Gallowsはジャンルを牽引する重鎮的なバンドの中でも、特にサイコビリーの要素が強い人たち。ロカから派生しパンクの影響を受けホラー系のコンセプトも有り、なるとサイコビリーヒルビリー/アウトロー系のカントリーと相性が良いのは言うまでもないことです。なので、こういったバンドはサイコビリー(パンク)とカントリーの融合、つまりミクスチャーとして出てきたのではなく、あくまでサイコビリーはアングラカントリーにおける普遍的な要素の1つとして機能しているわけです。

そういったバンドの1つであるPhantom of the Black Hillsはバンジョーマンドリン、アップライト、フィドルが入るため、ドラム入りとは言えかなりブルーグラスの要素が強いのが特徴。もちろん、ブルーグラスの伝統的なフレーズも多く使われており、サイコビリー的にバタバタとうるさい展開とブルーグラスの手数の多さが魅力を引き出しあっています。ボーカルはディストーションがかかっていて、全体の録音もかなりラフに聴こえる仕上げ。再生環境にもよるのかもしれませんが、マンドリンの高音がトンでしまってる印象さえあります。でも、そういった音作りと、そこから聴こえてくるマンドリンフィドルのフレーズのアツさがこのバンドの良さでもあります。また、クラシックなアウトローっぽさだけでなく、ちょっとかなりアレなものを想起させる……分かりやすく言うならば「ジャンゴ:アンチェインド」の自警団的なそれも含むコンセプトも魅力的。その辺りは上に貼ったアー写だけでも充分伝わるのではないかと思います。

 


Phantom of the Black Hills - Moonshine Bright - YouTube

11月末にリリースされた4枚目のフルアルバム、「Moonshine Bright」「密造酒の輝き」というタイトルからしてかなり高得点。内容、音楽性はデビュー当時からの路線を踏襲しており、大きな変化はありませんが、飛び道具的にキラーなフレーズはアルバム全体にもちりばめてあり、多少ダレる曲が続いてもインストパートはかならず耳を引きます前作「Enemy」に引き続き、充実した出来と言えますね。一見するとイロモノだし…いえ、実際にもイロモノではあるのですが、ブルーグラスバンドとしての普遍的な面白さ格好よさはきちんと押さえてあるので、あまり見た目に惑わされず、カッコいいアングラカントリーとして聴いてみて頂ければ、と思います(コンセプト自体もこの手のジャンルを好む人には「よくわかる」というアレで、徹底してるけど異端ではないですしね)。

 


Phantom of the Black Hills - YouTube

なお、新譜のリリースは引き続きRatchet Blade Recordsからなのですが、Death Roots Syndicateのyoutubeチャンネルに新曲から5曲まとめてあがっています。

 

日本で知名度や人気が無いのは分かりますが、意外と向こうの愛好者の中でも扱いが小さいのが残念。それは知名度がない人気がないということではなく、知名度もあり評価も高いけれどあまりにも謎が多いから、というところから来てそうです。実際、完全に覆面で素顔はわかりませんし(興味もないですが)、なんと言ってもライブを殆どやらないためなのでは思います。前にも書いた気がしますがシーン全体の流れは現在大型のフェスと主催レーベルが形作っているので、ライブをほぼやらないバンドだと上手く扱えない部分は致し方ないのかもしれませんね。とはいえ、ライブやるやらないは日本のリスナーには全く関係ない話ですし、そもそもシーン全体の中でどういう位置にいる、なんてことに興味のある層も居ないでしょうから、カッコいいバンドとして気軽に聴いてみて貰えれば嬉しいです。でも、本当は「こんな面白いバンドがいる」ではなく「こんな面白いバンドが普通にいるこんな界隈がある」という風に思って頂ければ一番嬉しいですね…

 

黒めだかさんが私の過去のツイートをまとめてくださっています。

【気になる音楽】アメリカの覆面サイコビリーバンドPhantom of the blackhills - 今私は小さな魚だけれど

 

公式:Phantom of the Black Hills 

アメリカンゴシックおばさんとしてのLydia Lunch

Lydia Lunchといえば、NYアンダーグラウンド/ノーウェーブシーンを代表する女性で……以前に、この程度のブログでは「ああ、リチャード・カーンのハードコアで、Jim Foetusとファックしてた人だよ」くらいの雑な紹介で構わないと思ったりもするわけですが、Foetus好きの私からしてみれば、色々な意味でなじみのあるアーティストの一人です。今年の頭には、サーストン・ムーア関連などでちょっと話題になったりもしていましたが、実は今年に入って、「Lydia Lunch with Cypress Grove」名義でアルバムを出しています。

日本では殆ど話題になっていないようですが、実はこのアルバム、直球なアメリカンゴシック/ダークフォークに仕上がってしまってるんです。そもそも「A Fistful Of Desert Blues」というタイトルからして直球です。いつのまにこんなことに。


Lydia Lunch & Cypress Grove - Jericho - YouTube

直球。タイトルからも想像つくとは思いますが、ウエスタン調のリズムとアレンジを所々に盛り込んだ、ダークなオルタナティブフォークになっています。カントリー色は薄めですが、このアルバムが凄いのは、アメリカンゴシックとしては全く新しさがないということ。もしかしたら、アメゴシを聴きつけない人には目新しいかもしれませんが、アメゴシリスナーにとってはよくあるタイプかな、という雰囲気。つまり、Death Roots Syndicateのコンピに入っててもそこまで違和感ないわけです。これは逆にすごいことのような気がしますな。

今回組んでいるCypress Groveという人は、ドイツのGlitterhouseから音源を出しているイギリス人ミュージシャン。Lydia Lunchは言わずもがな、このCypress GroveもThe Gun Clubに縁のある人で、「The Jeffrey Lee Pierce Sessions Project」にも参加しています。

アメリカのルーツミュージックに元々存在するワイアードな部分を増幅させることでゴシック性を獲得する、というのがアメリカンゴシックミュージックの王道。とはいえ、アメゴシがある程度普遍的な要素として根付いたのはトラッドやカントリー内部の流行はもちろん、それらを取り入れて行ったThe Gun ClubやBirthday Partyなどの所謂鬼っ子的なアーティストの存在もかなり大きかったことを忘れてはいけません。また、一部ではそこにダークウェーブからの影響、もっと言えばヨーロッパ的なゴスを逆輸入する傾向も見られます。もちろん、この辺りはインダストリアルミュージックもルーツに持っています。このようにアメゴシのルーツとして関連づけられるジャンル全体を見回した上で考えると、リディア・ランチがこのように非常にストレートな形でダークなアメリカーナをやっているのははとても面白く、しかも感慨深いと言えるでしょう。

 

アメリカンゴシックな音楽、といっても「ダークなカントリー」だけでなく、その端っこには「ブラックメタルの要素も感じられる暗いフォーク」もあれば「サイケに近いスピリチュアルなフォーク」まで存在します。その幅の広さとルーツを踏まえた上で、Lydia Lunchをアメゴシおばさんとして認識する人が増えてくれればいいなと思います。

 


Lydia Lunch & Cypress Grove - Revolver (Mark ...

ラネガンのカバーなんてのもベタじゃあないですか…

 

Svenska Hiphop界隈の最近のニュースまとめ #2

Far & Son「Inte Inför Barnen EP」(2014) 

Inte Inför Barnen - EP

Inte Inför Barnen - EP

  • Far & Son
  • Hip Hop/Rap
  • ¥1500

Maskinenのフレイがラッパーのシモンと組んでやっている2MCのデュオ、Far & Son(ふぁー おっく そん、と読みます) の新EPが11/27にリリースされました。アートワークも含め、相変わらず人を食った雰囲気のエレクトロヒップホップで、EPとはいえ8曲入りと、ボリュームもしっかり。これまでシングルとしてリリースされた曲が中心とはなっていますが、EPで初収録となった曲もなかなかの粒ぞろい。もうこの界隈ではお馴染みのラッパー、Joyお姉さんがゲストしている「Macho」が個人的にはお気に入りですね。

日本では「Maskinenの」とつけると、Movits!を聴いてる人には分かりやすいかと思ってMaskinenのフレイと 言ってしまうのですが、もしかしてKitsunéのコンピにも収録されていたslagsmålsklubbenのフレイですよ、と言った方が伝わるんですかね…

 

Goldenbest冬の感謝祭


MITT CREW // GOLDENBEST JULSHOW 19 ...

そのフレイがCEOを務めるユニバーサルスウェーデン傘下のヒップホップ/エレクトロレーベル“Goldenbest Records”。もちろんMaskinenやMovits!、Zacke、Alaska、Ansiktetなどが所属しています。そのGoldenbestが12/19にストックホルムで「Julshow」を開催するというアナウンスがありました。ユールショー(クリスマスしショー)、感覚的には「Goldenbest冬の大感謝祭」ってところですかね。殆どの所属アーティストが参加する大変にぎやかなイベントになりそうで、私は血の涙を流して悔しがっています。

更に、主要な所属アーティストが参加した「Mitt Crew」という曲も、このイベントに合わせてドロップされました。この曲自体はちょくちょくMaskinen+Joyの3人でやっていたようなんですが、今回こういう形でリリースされてうれしい限り。Movits!のヨハンとZackeはやっぱりセットだし、みんな仲良く楽しそうでとてもほのぼのする曲です。まぁ、聴くと行けないのが悔しくて気がめいるんですけど…

 

REC Collective

殆ど誰も興味が無いニュースだとは思うんですが、面白いものが出てくればいいな、と個人的には色々と期待してる件。

前回Snookについてのツイートを記事としてまとめましたが、その元SnookのOskar LinnrosはSnookの活動が停止した後は時折プロデューサー業もこなしながら、SSWとして2枚のアルバムをリリースしています。今年に入ってソロは一旦無期限で休止し、その分裏方に専念するということでしたが、先日「REC Collective」なるプロジェクトを立ち上げますよというニュースが入ってきました。これ、どんなプロジェクトかというと、女性アーティスト、プロデューサーやDJ、ソングライターとして音楽制作に携わる女性を育成するコースだそうです。業界で生きて行きたい人向けでしょうかね。Spotifyの敷地内で1月から運用開始。リノロス以外はユニバーサルスウェーデンのパブリッシャーなど女性4人がメンバー。こういうの、ちょっと面白いですね。

 

余談ですが、リノロスが今年プロデューサーとして関わったスウェーデンのソウルフルなR&B/ポップシンガー、Seinabo Sey、すでにイギリスあたりでも売り上げのびてますし、日本でもくるんじゃないですかね。なんせ歌詞が英語だし…


Seinabo Sey - Pistols At Dawn - YouTube

MaskinenがMoraeusに出た時なんかにもコーラスで参加してた子ですよ。

 

その他最近のスウェーディッシュヒップホップ界隈のリリースから


Ison & Fille - Ambition - YouTube

【Snookは】いなもと、怒りの布教タイム【アイドルです】

[2016.8.16、リユニオンについてさらに追記]

 

どうも、Daniel Adams-RayOskar Linnrosというスウェーデンのポップアイコン2人が過去にはデュオとして活動していた事実の素晴らしさをお伝えしていくBBAこと、いなもとです。

今年の春あたりから、今までアイドルでしょどうせ…と思ってスルーしていた解散済みのラッパー2人組 “Snook” に素っ転びました。素っ転んだ理由はSnookがやはりアイドルだったからです。もう帰ってこない青春か…とリアルタイムで聴いていたわけではないのにノスタルジー全開で聴いておりますが、日本では驚く程知名度がなく、それ以上に解散後のソロ活動についても殆ど注目されてないので、ざっと時系列順にSnookの結成から解散後までをツイートしてみました。

 

※とはいえ、レイちゃんはインドネシア系のお母さんとスウェーデン人のお父さんのハーフで、中学に入るくらいまでケニアで過ごしたという少し複雑な出自。リノロスは母方がユダヤ系かな。

リノロスの名前のカタカナ表記については、私もちょっと困ってます。実際の発音をそのままカタカナにするのは難しい…ので、とりあえず便宜上これでよろしくお願いします。 

 

【2016/7/27追記】

www.instagram.com

なんと…なんと!5月にこの2人、リユニオンしました…!!!

キャプションには「僕らは『Är』をリリースしてからの10年、たくさんのことを学んで来たし、何も学んでなんてこなかった。だけど最良のことはまだ起こってないんだ」と。Snookが再結成したわけではなく、ずっっっっと没交渉だった2人が友達としてリユニオン(仲直りとも少し違う)したという話なんですが、口ぶりとしては再結成もありそう…?Kingsize Magへレイちゃんが出したコメントでは「ただ友達2人が写ってる写真てだけだよ。(あまり詮索しないで)尊重してね。」とのことで、あーだこーだ言う段階ではないのですが、レイちゃんがEPのリリース&夏フェスツアーを控えたタイミングでのリユニオン、テコ入れ…というか戦略的なものではないのかなーと思ったりなんだり(欲目ですね)。

www.metro.se

あと、それを受けてのAdam Tenstaの「Snook再結成して欲しいねん」っていう談話がめっちゃ良いのでこちらもぜひ。

 

【2016/8/16、更に追記】

8/13、ヨーテボリで開催された大型フェス、Way out westのレイちゃんのステージにリノロスがゲストで登場、なんと新曲を披露しました。未だに「snookとして」の公式なステートメントは発表されていませんし、ステージからもとくには言及なかったようですが、これはもう完全に再結成…!レイちゃんがSnookのさんかくマーク作ってる写真もありましたし、一応Snookとして、ということで間違いなさそうです。しかも、予告なしのゲストでありながら、既発曲ではなく新曲をぶちかましたようで、二人の間のテンションの意外な高さに動揺しています。

ネット上にはインスタグラムを中心にいくつか写真や動画があがっているので、なんとなくステージでの二人の様子はうかがえるのですが、そのラブラブっぷり(とネットの記事で証言がある)に動揺が隠しきれないわたくし………今残ってるsnookの動画で、ここまで仲よさげ且つ楽しそうな二人は見た事ないんですが??????

なんなの?ねぇこれどうしたの???活動時もこんなにイチャイチャしてたことなかったろ?

 

まぁ、一連の流れが大いなる茶番だとしても、この二人が笑顔で一緒にステージに立ってるのを見ると、本当に幸せな気持ちになります。私自身が「嬉しい!」というより、二人が嬉しそうなのでこっちも嬉しくなるという感じですが(笑)。今後のスケジュールは全く不明で、音源はまだまだ先になるかもしれないし、意外と急にドロップされるかもしれないし、アルバムになるのかEPになるのか単独ツアーはやるのかなにもわからないわけですが、追いかけるにあたってはいろいろと地獄を見そうで今からおそろしいですね……

Svenska Hiphop界隈の最近のニュースまとめ #1

Movits!の周辺、またはスウェーデンのヒップホップ関連でのニュースを需要があろうとなかろうと

AnsiktetのEPが11/21リリース


ANSIKTET - FYRA VÅNINGAR UPP TEASER ...

スウェーデンR&Bデュオ、AnsiktetのEPが11/21リリース予定。

日本では殆ど知られていない彼らですが、デュオの片割れであるハーバートは昨年、Movits!と一緒にMaskinenとして来日してました。Maskinenではラッパーとして活躍していますが、Ansiktetではちゃんと歌っていますよ。デュオのもう片方はこれまたスウェーデン語エレクトロポップ、Lilla Sällskapetのボーカルであるエリック。リリースはMovits!やMaskinenと同じGoldenbestから。リリースと同時にPVも公開されるようです。PVのディレクターは先日話題になった、Mando Diaoの日本で撮影したPVを撮った人です。Ansiktetも日本で撮ればいいのに…撮ればいいのに…

Ansiktet | Facebook

 

Far & Sonの新曲PVが公開されてます


Far & Son - Nattlivspussel (VIDEO) - YouTube

Maskinenのもう片方、眼鏡の賑やかな方ことフレイがやっている別のラップデュオがFar och Son。相棒はLas Palmasというエレクトロヒップホップデュオにいたシモン。今年に入ってからばりばり新曲とPVをドロップしておりますが、そろそろまとめて欲しいところ。今回も人を食った感の強い妙なエレクトロヒップホップに仕上がっています。

Far & Son | Facebook

 

Broder John och Frimanの新曲

スウェーデンのローカルシーンもなかなか見えてこない部分があるのですが、比較的情報をキャッチしやすく、音も好みなのはなんといってもウメオです。RANDOM BASTARDS!というヒップホップレーベル兼スケート/スノーのローカルチームがシーンを牽引しています。最近になってそんなウメオからHoopdiggasというアパレルとアートを含むレーベルも登場。2MCのヒップホップデュオ、Broder John & Frimanがそっちに引っ越してから出した新曲がこちら。スロー〜ミッドテンポで結構チルい系統。ウメオだとAcademicsとかもその系列ですね。他のウメオのラッパーだと、Random Bastards所属のGonza-Raも10月にデビューアルバムを出したばかり。こちらもよければチェックしてくださいませ。

Hoop Diggas Creative Collective

 

Looptroop Rockersの新譜


Looptroop Rockers - Slippin' - YouTube

スウェーデンのベテランヒップホップグループLooptroop Rockersの新譜「Naked Swedes」が10月末にリリース済です。元々英語リリックでラップしていた彼ら、前作「Mitt hjärta är en bomb」では全編スウェーデン語でしたが、今回はまた英語に戻っております。ゲストは現在ワールドワイドな活躍を始めているスウェーデンのソウルフルな女性シンガーSeinabo Seyと、アメリカのアンダーグラウンドヒップホップのCunninlynguists。昔Strange JourneyシリーズにもLTRがゲストしてましたが、Cunninlynguistsとはずっと仲良しですね。意外とスウェーデンのヒップホップ界隈とこの辺りのUSアングラヒップホップは繋がりありますよ。セイナボウちゃんはひっぱりだこだ。

Looptroop Rockers - Official home of the Looptroop Rockers / David Vs Goliath

 

Aviciiの新曲

まさかこのブログでAviciiの情報を流すことになろうとは…という感じですが、Daniel Adams-Rayがボーカルでフィーチャーされた新曲、もしかしたらリリース間近?ということで。上に貼ったのはファン録音の海賊音源ですが、ワーキングタイトルは「(I'm Still)In Love with Your Ghost」。今年の春のべガス公演にAviciiがダニエルを連れて行っていたぽいのでその時のものでしょうかね。公式からとくに何かアナウンスがあったわけではないのですが、ダニエルがAviciiとよく同行してるカメラマンのインスタグラムに登場していたりもするので、もしかしたらそろそろかもしれません。元はOskar LinnrosSnookというアイドルユニットヒップホップユニットを組んでいましたが、現在はソロシンガーとして活動しているダニエル・アダムズ・レイ、日本では殆ど知名度がありませんが私は最近(リノロスと合わせて)こまめに活動を追っかけているので、とりあえずご紹介しておく次第。いざリリースして「このエンジェルボイスのDaniel Adams-Rayって人は誰…?」となった時、検索して日本語の情報が全然ないようじゃ困りますからね…そのうちもうちょっと細かく紹介出来れば、と思いますが、ちょっと前に書いたSnookの記事はこちらちなみに私はAviciiやEDMについては全くの守備範囲外です。あくまでDaniel Adams-RayとSnookのファンということで…

 

 

…これで日本でもレイちゃん知名度あがって人気出るんじゃない?とかソワソワしてるのですが、よく考えたらAviciiのシングルにSalemがゲストしても別に日本で彼の知名度があがったわけではないので、ソワソワするだけ無駄な気も…しますよね…

最近聴いたもの #1

最近聴いたものとか発見したものまとめです。

Elliott Brood「Work and Love」(2014)

トロントのオルタナカントリー/インディーバンドの5作目。初期3枚くらいは独特のダークさと枯れ感のあるオルタナカントリーで、そこはかとなくウエスタン調の味わいも面白かったのですが、前作でかなりストレートなインディーロック/フォークになってしまいました。新作もその延長線上にあり、前作に比べても更に潔くストレートな音になっていますが、その潔さ故か非常に良いアルバムに仕上がっています。とにかく曲のクオリティが高い。ややこのバンドにこの音を期待していたかと言われると「いや…」としか言い様がないとはいえ、元々カナディアンインディーフォークのこの手の音は好きなので、方向性は変われどもクオリティの高い新作で一安心です。貼ったのは新譜の収録曲では最も昔の雰囲気が残ってる曲ですので、気になった方は旧作(Ambassodar、Mountain Meadowsあたり)もおすすめです。ELLIOTT BROOD

 

Old Gray Mule「Have Marcy」(2014)

Mississippi Sheiksの「Old Grey Mule You Ain t What You Used to Be」を冠したであろう、テキサスの2ピースなジュークジョイントブルーズバンドの新作2枚。同時にリリースされた「Hump Night 55」の方はリミックスやライブ音源がメインになっているので割愛(でもカッコいいので聴いてね)。「Have Marcy」は「Skinny Woman」からスタートし、戦前/デルタブルースをたっぷり聴けるアルバム。この界隈の2ピースに多いトラッシュ/ガレージな要素は無く、カントリーブルースとはいえ、ソウルやファンク、ゴスペル色の強いアプローチが特徴。ボーカルギター+ドラムの2ピースながらアコーディオンやチューバなどの楽器も多いに彩りを添え、ニューオリンズ的に賑やかな音になっています。NMAほど優等生っぽくなく、それなりに品がないのも魅力ですねRL Burnside, Junior Kimbrough, T Model Fordなどのブルースマンや、ハードロック調ではないブルースロックがお好きな方にも楽しめると思いますよ。Old Gray Mule

 

Marty O'Reilly & The Old Soul Orchestra「Pray for Pain」

もしかしたら今年一番の掘り出し物かも。The Good Luck Thrift Store Outfitの対バンで知ったサンタクルーズのSSW。& The Old Soul Orchestra名義で3ピースとなります。これもまたブルース系ではあるのですが、全体的にはオールドタイム寄りの何かである、と言った方がいいですね。上に貼ったアルバムの一曲目「Dempsey」はハスキーなボーカル、ジャジーなビート、そしてフィドルと、アーリーなアメリカンミュージックを(あまりレイドバックさせず)演っていていきなりのっけからカッコいい。前半のハイライトとなる素晴らしい「Smokestack Lightning」は必聴。盛り込まれた要素を抜き出して説明しても『よくあるタイプ』としか言えない音楽ではあるのですが、演奏とアレンジのセンスの良さはずば抜けているので、その辺りの妙はぜひ聴いて確かめて頂きたく。一口にオールドタイミー寄りと言ってもThe Devil Makes ThreeやWoody Pinesのようなレイドバックしたタイプとは違い、ジャズの要素が強い一方でブルーグラスの要素がないのも特徴ですね。個人的にはDaniel Martin MooreMark Growdenのちょっとダークなブルースのエッセンスを足した感じ、といったところでしょうか。日本のルーツ系リスナーの何人がMark Growdenを知っているのかは疑問ですが…

一つ前のアルバムでは「St. James Infirmary」も。いろんなアーティストのSt.Jamesをコレクションしている私ですが、これ、好きなSt.Jamesベスト10に入れる勢いですよ。Marty O'Reilly